旧式マウンテンバイクのボトムブラケット整備  2007/5/14製作
<Takaよろず研究所内の関連リンク>
買い物自転車のクランクベアリング修理
自転車のペダル交換
タイヤに空気を入れる 手動空気入れ編
各種グリスと使用上のヒント
自転車のチェーンに使えそうなオイル
<参考にさせて頂いたページ>
RIGHT STUFF, Inc. ママチャリのBB修理
MyTown MyCycle レストア BB編

<参考文献>
『技能ブックス1 測定のテクニック』技能士の友編集部編 大河出版 1970
『技能ブックス7 手仕上げのベテラン』技能士の友編集部編 大河出版 1972

現在のマウンテンバイクは「カートリッジ式」と呼ばれるBBが主流です。これはシャフトとベアリングが一体となっており、分解・調整が一切不要というものです。不具合が生じればユニットごと交換になります。

しかし、この1991年式MTBは古典的な「カップアンドコーン型」と呼ばれるタイプです。シャフト、ベアリングは個々の部品に分かれており、玉の当たり具合を調整して使用します。現在でも買い物自転車はこのタイプが多いようです。
クランクを外す
左右のクランクを外していきましょう。

この機種は化粧キャップで覆われていますので、まず始めにこのキャップを外します。

測ってみると、ピン間隔16.5mm、ピン径2.5mmでした。
私の場合はカニ目回しを自作して外しました。

市販の工具を利用するのならば、米パークツール社から「アジャスタブル ピンスパナ SPA-2」はピン径2.3mmなので利用できるかもしれません。
化粧キャップです。
外れました。キャップはプラスチック製なのでそれほど強くは締まっていませんでした。
2009/7/16補足
この機種の化粧キャップはシマノ純正工具"TL-FC21"で外すことが出来ます。価格は300円前後です。
キャップの穴にTL-FC21の突起を合わせ、反時計回り(左回り)に回すとゆるみます。
「クランク固定ボルト」を外していきます。2面幅14mmのボルトが使用されているので、14mmのソケットレンチを使います。

画像では長さのあるディープソケットを使用していますが、通常の長さのソケットでも対応できるでしょう。
外れました。ネジは通常のネジ(右ネジ)です。反時計回り(左回り)に回すと外れます。

ペットボトルのキャップを締めたり緩めたりするのと同一の方向です。

なお、今回の一連の作業で「逆ネジ」はありませんでした。全て通常の正ネジです。
クランク固定ボルトを外しただけではクランクは外れません。シャフトがクサビ型(テーパー型)になっており、クランクに食い込んでいるからです。

そこでシマノ「クランクコッタレス抜き工具」"TL-FC10"という専用工具を使用します。自転車店にて1,200円前後で販売されています。

専用工具といえども利用頻度の高い工具ですので、店頭に在庫しているお店が多いようです。

時計回り(右回り)に回していくにつれ、工具の先端がクランクシャフトを押していきます。
モンキーレンチで回していくと、少しずつ抜けていきます。
右側のクランクも同様の手順で外します。

クランク固定ボルトも同じく正ネジですので、反時計回り(左回り)に回ると外れます。

クランクシャフトを手で回してみると、ゴリゴリという感触がします。
ボトムブラケット(BB)の分解
ではボトムブラケットを外していきましょう。

右側のベアリング受け(右ワン)は外しませんでした。

左側(左ワン)さえ外せば分解・清掃・調整が可能です。
左ワンを外すには「フックレンチ」と呼ばれる道具を使用します。
フックレンチには細かくサイズがあるので、いったいどのサイズを選べば良いのかわかりにくい面があります。
当てずっぽうで選んでしまうと、せっかく購入したのにサイズが合わないこともあります。

ノギスでロックリングの直径を測ります。"約44mm"と分かりました。
手持ちのフックレンチのうち、"φ45-48"が大体合いそうです。
合わせてみると、ほぼピッタリです。ロックリングは反時計回りに回すと外れます。

しかし、左ワンを回すにはピンスパナが必要になります。

測ってみると、ピン径3mm、ピンピッチ29mmでした。

市販の道具を利用する場合は、パークツール社の「アジャスタブルピンスパナ SPA-1 グリーン」が合うかもしれません。ピン径2.9mm、幅は調整可能のようです。
2007/6/6補足
パークツール ピンスパナ"HCW-4"も適合しているかもしれません。
BB用カニ目回しの自作
ふと回りを見回してみると、ちょうど良さそうなパイプがありました。そこで、このパイプを利用して自作工具を作ってみることにします。

なお、騒音のために電動工具を利用できない場合を想定して、今回は金ノコとヤスリといった「手工具」のみで工具を作ってみましょう。

万力にパイプを固定し、金ノコで切断します。

ノコ刃はサンドビック社の「サンドフレックス」というものが定評があります。1本300円前後で販売されています。
ツメになる部分に切れ込みを入れます。
そこから手ヤスリで削っていきます。

こういった手工具の使い方は、大河出版 技能ブックス7『手仕上げのベテラン』1972にわかりやすく解説されています。
20分ほど削り、ようやく完成しました。
この工具をウォーターポンププライヤで掴んで回します。
ボトムブラケットの分解・清掃・組み立て
古典的な「カップアンドコーン型」のクランクシャフトです。

ベアリングのリテーナーには方向性があるのでご注意ください。
16年経過した左ワンのベアリングです。ある程度グリスは残っていました。
右ワン側のベアリングです。こちらもある程度はグリスが残っています。
ボトムブラケット内部の様子です。
ベアリングを綺麗にしましょう。

今回は「デグリーズ」というクリーナーと、ブレーキクリーナーを使用しました。

ブレーキクリーナーはホームセンターで1本300円ほどで販売されています。
洗浄後のベアリングです。

リテーナー(支持枠)によってボールがまとめられているので、扱いが非常に楽です。
グリスは米フィニッシュライン社のテフロングリスを使用しました。自転車用品店にて100g入りチューブが1,000円前後で販売されています。

左の画像は10年前に購入したもので、現在は新しいデザインになっています。

パッケージにはハブベアリングからヘッド、ボトムブラケットまで使えると書いてあります。
今回はこのテフロングリスを使いましたが、ホームセンターで販売されている「マルチパーパスグリス」(万能グリス、MPグリス)といった工業用汎用グリスを使う方法もあります。

また、シマノの「デュラエースグリス」は部品メーカー純正グリスという安心感があります。

各種グリスについては、当サイト内の「各種グリスと使用上のヒント」に掲載しています。
ワンを締めていき、ベアリングの当たり具合を調整します。

【ガタが無く】、かつ【スムーズに回転する】ポイントを探り、決まったらロックリングを回して固定します。

わずかなガタでも、クランクの先端ではそれなりのガタになりますので、気長に頑張りましょう。
調整完了しました。
後は分解の逆の手順で組み付けていきます。

クランク固定ボルトを締めていくと、微妙にクサビ状の形(テーパー型)をしたシャフトがクランク穴に食い込んでいき、ガッチリと固定されます。
使用した道具
今回使用した工具の一覧です。
【必要とした工具】
無いとどうにもならない道具です。14mmボックスやモンキーレンチは汎用工具なのでお持ちの方も多いかもしれません。

ポイントは専用工具になります。シマノの「コッタレスエキストラクター"TL-FC10"はクランクを抜くために使用します。自転車店で1200円前後、MTBから買い物自転車まで幅広く使えますので、ひとつ持っていると重宝します。

φ45-48のフックスパナはややマイナーな工具ですが、機械工具屋さんや大規模ホームセンターでも販売されています。通信販売ではエイビットi-toolsで取り扱いがあるようです。

カニ目回しは自作してしまいましたが、パークツールの「ピンスパナ SPA-1グリーン」などが利用できそうです。穴径とピン径を測った上で購入すると間違いがないでしょう。
【あると助かる工具】
今回は左クランクが外れず、本来クルマの足回り整備に使うような工具を使って外しました。

ウォーターポンププライヤは独クニペックス社製アリゲーター250を使用しています。3,500円前後とやや高価ですが、幅広く使えるお助け工具です。
同社の"コブラ"も使っていますが、口幅を変える度にボタンを押さなくてはならないのが面倒に感じています。

自転車はミリ規格とインチ規格などが入り交じっているので、ノギスで寸法を確認する場面が多々ありました。自作工具を作るときに寸法を測るためにも必要です。シンワ製デジタルノギス150、5,000円前後で販売されています。
金鋸と手ヤスリです。ヤスリはJISマークの入ったものを選ぶと安心です。

金鋸(かなのこ)に関しては、10本300円の刃よりも、1本300円の刃を選んだ方が得かもしれません。

サンドビック「サンドフレックス」は刃先部分に硬い鋼を使い、それ以外の本体部分には粘り強いバネ鋼を使うことで「切れ味」と「折れにくさ」を両立しているそうです。
【ケミカル関係】
右側から、今回使用したグリス「フィニッシュライン テフロングリス」、呉工業「CRC-556」、ピカール「デグリーズ」、ブレーキクリーナーです。

CRC-556には殺虫剤「ゴキジェット」ノズルを装着してあります。

ブレーキクリーナーはホームセンターで特売1本300円前後で目立つところに置かれています。
【洗浄用具】
アルミ製のバット、使い古しの歯ブラシ、ボロ切れです。
バットは様々な形のものをバラバラに揃えるのではなく、汎用性のあるサイズを1つ決めてしまい、それを複数揃えるようにしています。

サイズが決まっていれば収納するときに1つに重ねることができ、保管場所を取らずにすむからです。
当研究所ではアカオアルミの「標準バット3号」に決めています。サイズは312x241x35、ほぼA4コピー用紙と同じような大きさです。

ホームセンターのキッチンコーナーにて、600円前後で販売されています。
【万力】
切る、削る、曲げる・・・という加工をするとき、どうしても加工対象をしっかりと固定する必要があります。

写真は15kg近くある口幅125mm型ですが、ホームセンターで1,000円で販売されている90mm型でも大変重宝します。

万力につきましては、当サイト内の「万力(バイス)研究」をご覧ください。
2007/6/6補足 ピンスパナ(カニ目レンチ)の自作
前回は廃物利用のカニ目レンチを作りましたが、今回はスパナ型にしてクランクをつけたままでカップアンドコーン型BB(ボトムブラケット)を調整できる道具を作ってみたいと思います。

なお、市販されている工具では、 パークツールの「ピンスパナ"HCW-4"」や、「アジャスタブルピンスパナ SPA-1 グリーン」が適合しているかもしれません。既存の工具を利用するのも一つの方法です。


まず始めに、コンパスで穴の間隔を寸法取りしました。これはノギスが入りにくかった為と、パスで寸法を記録しておく為です。
約29mmでした。
材料は百円ショップで販売されている「ペダルスパナ」です。両端が15mmと16mmのスパナになっています。

ペダルスパナやハブスパナとして使うのは15mm側だけなので、今回は16mmにφ2.8のピンを2つ取り付けます。

穴を開ける位置にポンチを打ちます。
小型のボール盤を使って穴を開けます。ホームセンターなどで特売されていたものです。
φ2.5のキリで穴を開けます。
片方の穴を先に開け、この穴を基準にもう片方の穴の位置決めをしました。
穴が空きました。
寸法を取っておいたパスを当ててチェックします。
ピンには「コンクリート釘(くぎ) 2.8mmx25mm」を使用します。

通常の釘(くぎ)は軟鉄でできているので、金属に打ち込もうとすると曲がってしまいます。また、強度的にも足りなさそうです。

しかし、コンクリート釘は鋼(ハガネ)でできており、熱処理(焼入)がされているものもあるそうです。
φ2.5で空けた穴にφ2.8のコンクリート釘を打ち込んでいきます。
コンクリート釘が打ち込み終わりました。
余分にはみ出た釘は、卓上グラインダで削り落とします。
実際に自転車に当ててみたところ、クランクシャフトにスパナの口が少々あたるので、棒ヤスリで修正します。
完成しました。
ピンの直径は2.8mm、長さは3mmです。
横から見た様子です。
うまい具合に収まりました。
クランクを取り付けたまま、ボトムブラケットの「玉押し」調整ができます。
今回使用した道具です。

■片手ハンマ450g
■片手ハンマ250g
■丸棒ヤスリ
■コンパス
■センタポンチ
■油性ペン
■直尺300mm
卓上グラインダ(双頭グラインダ)、日立工機"FGT-15"です。

この型は直径150mm 幅16mm 穴径12.7mmの回転砥石を使います

■左側 砥粒"WA"(ホワイトアランダム)、粒度60
■右側 砥粒"A" (アランダム)      粒度46

加工物を置く台は左右とも自作品に交換してあります。
ボール盤です。ホームセンターの特売などで1万円ほどで販売されているものです。
穴を空けるときは「鉄鋼用 ドリルオイル」を使用しています。これを使うと切り粉(きりこ)が螺旋(らせん)を描いて出てきやすいようです。

TAKAよろず研究所
http://www.geocities.jp/taka_laboratory/
2007/5/14製作
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